[政治]中国政治の概要

ここでは、中華人民共和国の政治体制の概要を解説します。

日本の政治体制を簡単に言うと、主権は国民にあり、立法権は国会に、行政権は内閣に、司法権は裁判所にある、天皇は国事行為を行う象徴ということになっています。中学校でも三権分立ということは習いましたね。実際もそうなっていると思います。しかし、中国の政治体制は日本とは大きく異なっています。

スポンサーリンク

中華人民共和国の政治体制

中華人民共和国の政治の理念を一言でいうと、「プロレタリア独裁」体制です。「プロレタリア」というのは、労働者階級のことです。これだけではよく分からないと思いますので、中国の憲法(中华人民共和国宪法)の本文をもとに、中国の政治体制の佇まいを見ていきましょう。

まず、中国の憲法は冒頭から「中国は人民民主による社会主義国家である」と宣言しています。

全ての権利は人民に属し、人民は全国もしくは地方の人民代表大会(中国語では人民代表大会、略して人大)を通して国家の権力を行使します。国の行政機関や司法機関は人大の監督下に置かれます。

で、いつ中国共産党が出てくるのかというと、憲法本文には出てきません。第一章第一条より前の序言という箇所(日本国憲法でいえば「前文」のようなところ)にのみ記載されています。序言に記載されていることをおおざっぱにまとめると、「孫文の辛亥革命から毛沢東を経て、中国共産党が指導する人民により人民主権が実現された。人民は将来にわたって、中国共産党の指導のもと、社会主義を発展させる」ということです。

以上を要約すると、中国の政治制度は「人民主権の国であり、人民代表大会が全ての権力を行使する。人民は中国共産党の指導により社会主義国家を発展させる」という構造になっています。つまり、人民が国の全ての権力を行使できるけども、その人民は共産党の指導下にあるということで、中国共産党が国よりも上にあるカタチです。

なお、中国共産党の章程(定款)には「中国共産党は中国労働者階級の先鋒隊である」との記載があります。ということは、人民も党もどちらも労働者階級です。ここで、この記事の冒頭に戻りましょう。中国の政治体制はプロレタリア独裁、つまり中国は労働者階級による政治が行われている、ということになります。まわりくどいようですが、実はこの理解の仕方は大切で、中国のニュースを見たり、中国とビジネスなどで深く関係する際に、表面的な「共産党の一党独裁体制だ」という認識でいるよりは、もっと中国事情の本質を理解できるようになるでしょう。

そして中国には中国共産党以外の政党が存在します。これを民主党派といいます。実質的には中国共産党の勢力を凌駕することはできないのですが、一応こういう存在があるんだなと知っておくのも良いでしょう。

中国共産党組織と国家機関の兼務体制

ニュースを見ていても「総書記がどうだ」とか「国家主席がどうだ」とか、同じ名前の人で役職名が微妙に変わって分かりにくいときがあると思います。これは、ニュースで出てくるような著名な要人は、中国共産党という組織内の役職と国家機関の役職を兼務しているために、このような事態になります。

例えばニュースで「中国共産党序列ナンバー2の李国強首相」という人物が紹介されたとします。この中国の首相というのは、国務院という機関の長で、その国務院というのは国家機関なので、上述したように、人民代表大会の監督下にあります。一方で、「中国共産党序列ナンバー3の張徳江全国人民代表大会常務委員長」というニュースが流れると、上下関係がよく分からなくなってきます。

中国共産党内での役職情報と国家機関での役職情報がつなげて報道されるため、分かりにくくなるのです。日本のメディアは「『全国人民代表大会常務委員長』などと言ってもどんな人か伝わらないだろう」というこ考えで「中国共産党序列ナンバー3」という修飾語を入れているのだろうと思います。ニュースなどを見る際は、この「二重修飾されている可能性」を覚えておくと、理解しやすくなるでしょう。

また、これは共産党の組織と国家機関とが同じ人によって運営されていることをも表しています。人民代表大会の過半数も共産党員に占められているそうです。

現状は中国国内でも議論となっている

実際のところ、権力の中枢は共産党にあるわけで、この現状に対しては、中国国内でもいろいろな議論が出ています。中国と関わるうえでは、この「議論がある」ということだけでも知っておくと良いでしょう。たとえば、最近は中国共産党の入党者に「企業家」なる人々がいるそうです。企業家といえば資産階級(=ブルジョワジー)であり労働者(=プロレタリア)とは正反対の雇用者側ですよね。こういった論点の理解のためにも基本的な知識を身につけておくと良いでしょう。

もっと理解を深めたいという方は、お手軽なところでは日本語のWikipediaがかなり詳しいのでオススメです(中国政治などで検索)。以下、参考文献として読み込んだ本を紹介します。

現代中国の政治――「開発独裁」とそのゆくえ (岩波新書)
この本は新書でページ数もそれほど多くないので、中国と密接に関わる方は読んでおくとよいでしょう。なんとなく会社に命令されて中国へ行くことになった、という方でも読んでおくときっと役に立ちます。
現代中国政治[第3版] -グローバル・パワーの肖像- 毛里和子 名古屋大学出版会
現代中国政治[第3版] -グローバル・パワーの肖像-
かなりボリュームのある本ですが、中国政治の理解のためには読み込んでおく必要があります。シンガポールで現地語の翻訳版が出ているほどで、それほど内容には網羅性・信頼性があるといえるでしょう。さらっと読むにはきついのですが、辞書的に置いておくのも良いと思います。

ホーム / 現代中国事情トップ / [経済]中国経済の概要へ

このページをシェアする

スポンサーリンク