中国語の各種検定試験の難易度と実際の運用能力との関係

世の中に中国語の検定試験は各種あります。ここでは中検TECCHSKBCTを取り上げ、それぞれの試験の難易度と実際の運用能力との関係を考察してみました。読者の皆さんがどのように中国語に取り組むかの参考にしていただければと思います。まずそれぞれの試験概要を見てみましょう。

中国語の検定試験
中検:伝統ある中国語試験。日本人学習者向け。
TECC:スコア式中国語試験。別名「中国語コミュニケーション能力検定」。
HSK:中国政府公認の検定試験。外国人などあらゆる普通話学習者向け。
BCT:中国政府公認の検定試験。ビジネス関連に特化。

他にも有償旅行ガイドをするために必要な通訳案内士試験台湾華語のレベルを測る繁体字による華語文能力測検などありますが、ここではいったん上記4つに絞って見てみましょう。

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試験の難易度とカバー範囲のイメージ

各検定試験の運営機関による公式情報と過去問の分析から次のようなイメージ図を作成しました。

中国語の検定試験における難易度とカバー範囲

分かりやすいように各試験をくっつけてはいませんが、実際はカバー範囲や難易度は重なっているところもあるでしょう。大ざっぱに左に行くほど実務的専門的、右に行くほど文学的なイメージです。レベルの高さを上下で表しています。このようなイメージ図を作成した根拠について、次から解説したいと思います。

試験の難易度

それぞれの試験の難易度については種々の憶測がありますが、公式サイトに記載のある情報をまず見てみましょう。中検とTECCのサイトに難易度を比較・解説したページがあります。

中検のサイトにも記載があるとおり、試験形式や対象とする受験者が違うので、実際はどの試験のどちらの級の方がレベル高いとか低いとか単純比較はできないということもあります。ここでは目安として上記2箇所に記載の難易度比較をそのまま図にしています。

試験のカバー範囲

試験の過去問を分析し、出題項目からその試験勉強をすることによってカバーできる領域を考えてみました。これにより横軸の実務的専門的あるいは文学的な方向を判断しています。

中国語の検定試験
中検:文法・語彙の微妙なニュアンスまでも区別できる。→文学作品など書き言葉中心
TECC:日常会話に役立つ表現が身につく。→日常会話特化
HSK:基本的な語彙と文法の知識を体得できる。→口語・書き言葉まんべんなく
BCT:ビジネスや生活に密着した語彙と表現が身につく。→交渉ごとや実際の生活で触れる言葉

少し私の個人的な主観も入っていますが、試験のカバー範囲はおおむね上記のようなイメージです。

たとえばの使い方について。ぶっちゃけ日常会話ではでいいんです。でも書き言葉の正確性を厳密に突き詰めていくと、/具有/拥有/享有/素有/赋有/占有は全て区別しなければならないんですね。この区別を厳密にやるのが中検。HSKも6級でも区別を問う問題は出てきますが中検ほど細かくはありません。TECCやBCTは類義語の細かなニュアンスの区別までは出題されません。

身近に中国人がいたら聞いてみると良いでしょう。「“具有”和“拥有”有什么区别?具有拥有は何が違うの?)」と聞いても恐らく「一样的(同じだよ)」と答えが返ってくるはずです。ネイティブでも「なんとなく違いは分かるんだけどそれを説明しろって言われてもねぇ、おんなじじゃないの?」ぐらいのニュアンスでしょう。ちゃんと答えてくれるのは外国人に教え慣れた中国語の先生とか日ごろから言語に対する関心の高い人ぐらいなもんです。

中国語運用能力と検定試験の関係

さて、ここからは何の根拠もない私の勝手なイメージの話をしていきます。

まず就職活動や転職活動のケースを考えてみましょう。面接で次のようなやりとりを思い浮かべてみてください。

求職者:中国語できます!XX検定のXX級もってます!
面接者:へぇ~、そうですか。でもXX級もってるからって実際に使えるかどうかは分かりませんよね。

求職者:中国語できます!検定試験は受けたことありませんが大丈夫です!
面接者:へぇ~、そうですか。でも客観的に能力を証明できるものがなければ業務に使えるかどうか判断できませんよね。

「どっちなんだよ」とツッコミたくなりますが(笑)、上記のようケースは容易に想像できます。実際問題として、検定試験の合格証を持っているからといって中国語運用能力に長けているとは限らず、また検定試験の合格証を持っていないからといって中国語運用能力がないとも限りません。

たとえば私(ユーウェン中国語講座の管理人)はどうなのかというと、次の黄色い領域に長けていると自負しています。

中国語で業務を遂行できるビジネスマンの中国語運用能力イメージ

恐らく多くのビジネスマンなど仕事で中国語を使う方はおおむね私と同じような領域をカバーしていると思います。日常会話は全く問題ありませんし、自分の仕事の専門的な用語も知っており、得意分野においては高度な中国語交渉能力を有する人たちです。左に尖っている箇所はまさにその自分の専門とする職種の用語です。しかしながら文学作品などにはあまり触れていない上に堅い書き言葉にはあまり慣れていないともいえるでしょう。検定試験の合格証などは持ってないかもしれませんが、高度なレベルの中国語で業務を遂行することができます。

一方で中国語のみを専門とする方、プロの通訳翻訳家などは次の黄色い領域をカバーしていると思います。

testlevel3

プロの通訳の方などにお話しを聞くと、まずその語彙力に驚かされます。「そんな言葉まで知ってるんですか!」とびっくりするくらいですね。そしていろんな分野の通訳に駆り出されるわけなので、専門用語もそのたびにインプットしてるんですね。よって経験を重ねるごとに黄色い領域がどんどん拡大していくイメージです。もうここまでくると検定試験の枠組みなどは超越してしまっているようですね。

通訳の方であれば特に音によるコミュニケーションを重視されているようなので、辞書的な発音よりも実際の中国語話者の発音を分かっていなければなりません。どんな漢字を書くかよりもどんな音で聞こえるかに特化といった具合に、実地で重視すべき内容は検定試験の内容とは必ずしも一致しません。現場ではキレイな発音の中国語などほとんど期待できず、北方訛り・南方訛りなどどんなしゃべり方にも対処しなければなりません。「大陸の普通話と台湾の台湾華語は違うんですよ」などと言ってたら仕事を失いかねません。

よって現実世界で必要とされる中国語運用能力はかなり広いと言えるでしょう。検定試験は問題それ自体はある領域に限定されているかもしれませんが、利用方法によっては実際の運用能力を高めることもできます。

以上、中国語の各種検定試験の難易度とカバー範囲の解説でした!次回は初級からの脱却を目指すための検定試験の利用方法について解説したいと思います。

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