河北省の正定古城にてお寺めぐり

引き続き華北旅行記事の続き。2016年5月1日に北京から河北省の省都である石家荘へと移動。石家荘での観光は何も考えていなかったので、その日は地図を買ったり旅行会社へ行ったりして情報を収集した。

調べてみると、どうやら石家荘という都市は特に観光名所があるわけでもなく、郊外にいくつか名所旧跡があるらしい。1日ツアー(中国語:一日游 yīrìyóu)でもあれば効率よくまわれるだろうなと思って旅行会社へ行ったのだけど、良さそうなツアーは特になし。次の日に参加可能なツアーは郊外のなんとかという湖に行って帰ってくるだけのツアーだけだった。よって、自力で名所旧跡を探して目指すことにした。

なお、中国の現地人向け現地発着ツアーは1日ツアーなら外国人でも気軽に参加できる。ただし宿泊を含む場合は外国人だと渋られることが多い。計画を立てる際は注意しよう。

石家荘の北15kmほどのところ正定県という地域があって、そこには歴史あるお寺や城壁などがあるらしい。次の日に早速行ってみることにした。

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正定古城へ

撮影日は2016年5月2日。石家荘中心部から正定県までは路線バスが出ている。朝9時ごろホテルを出て近くのバス停へ行った。前日は真夏日でTシャツ1枚だったのが、この日は曇りで妙に肌寒く感じたため、いったんホテルへ戻って上着を2枚にした。後々は雨が降って気温が下がったのでこの判断は正解だった。

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石家荘中心部から正定県までの路線バスは1本では行けず、途中で乗り換えが必要になる。まずは2路のバス北国商城胸科医院と移動し、そこで164路のバスに乗り換えた。164路のバスではどこで降りるべきかよくわからなかったが、正定县政府がおそらく県の中心部、そこの次にお寺の名前がいくつか並んでいるので、とりあえず大佛寺で降りてみることにした。

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この164路のバスは少し距離が長いせいか、運賃は距離によって1元と2元の設定があるようだ。乗車時に2元を払って領収書をもらっておくか、乗車時に1元しか払ってない人は運賃の変わるバス停で再度1元を払うかのどちらかだった。さほど混んでおらず、ずっと座っていくことができた。

正定県への入口には立派な門が建っており、子龙故里と書いてあった。そう、正定県は三国志で有名な蜀の将・趙雲子龍の故郷だったのだ。バスで正定县政府あたりを通った時にも趙雲らしき像が立っていたので、帰りに見ていくことにした。

正定古城のお寺その1:隆興寺(大佛寺)

バス停の大佛寺で降りたところ、すぐ目の前に人だかりが見えたが、そこが大佛寺だった。

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大佛寺(中国語:大佛寺 Dàfó sì)の本来の名前は隆興寺(中国語:隆兴寺 Lóngxìng sì)である。千手観音の大仏像があるため、通称を大佛寺というそうだ。

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入るには入場券が必要。看板を見ると、お寺4軒分のチケットが1つになったお得なセット券(中国語:联票 liánpiào)があるそうだ。さっそく「4軒で100元のところ65元!」というセット券を買い、中に入った。

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入口の門は天王殿という。中心に布袋像が、両脇に四天王像が配置されている。中国のお寺といえばほとんどが文革期に破壊されている。この天王殿は北宋時代に建てられ、清代に修繕されたとの記載のみだった。四天王像は1982年に再作製されたもの。文革の終結が1976年で、中国共産党による総括が1981年なので、中国の仏像は1980年前後の復刻版が多い。仏像のたぐいは撮影禁止なので写真は撮っていない。

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中を進むと大覚六師殿跡にたどり着く。この建物は民国初年(1912年)に経年劣化で倒壊してそのままらしい。現在は土台が残るのみとなっている。

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続く建物は摩尼殿。ここにはなんと明代の壁画が残るという。

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なるほど、壁画は薄くかろうじて見える程度。現在は修復中なので、将来的に鮮やかに見えるようになるかもしれない。

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さらに奥へ進むとメインの建造物である大悲閣殿が見えてくる。ここに高さ19.2mの千手観音立像が安置されている。建物は971年の頃に建てられたのが最初だが、現在のものは1997~1999年に建てられたものである。手前に三つの建物が並ぶ、壮観な場所だ。

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大悲閣殿前にある建物のうち、左手の建物は転輪蔵閣といい、木製の八角形の転輪蔵が安置されている。これをまわせば、お経を読んだと同じ効果があるという代物だ。現在はまわせないようである。

大悲閣殿の奥には弥陀殿という建物があり、ここの中には明代の仏像があった。先ほども見たとおり中国の仏像のほとんどが1980年代前後に復原されたものなので、清代以前のオリジナルが残っていることは非常に珍しい。このほかにも庭園などがあり、けっこうなボリュームのあるお寺であった。

この大佛寺を出る頃には雨が降り始め、どしゃ降りになってきた。

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大佛寺からの移動はチケット裏に書いてあるこの貧弱な地図を頼りとした(笑)。ここからこの簡易地図と地図アプリ(百度地图)を駆使した徒歩移動の開始である。

正定古城のお寺その2:天寧寺

次に天寧寺(中国語:天宁寺 Tiānníng sì)に行ってみることにした。大佛寺から歩いて500mほどのところにある。その前に天寧寺付近で昼食をとった。

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これは私の好きな焼ききしめんともいえる干炒牛河 gānchǎo niúhé(牛肉野菜焼きそば)だ。食感がもちもちしてて食べがいがあるのと、香ばしいにおいがしておいしい。

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昼食後、天寧寺へ入ってみた。ここには凌霄塔 Língxiāo tǎという仏塔が立っている。塔は1階部分には入れるが、上にはのぼることはできない。塔のまわりを時計回りにまわると功徳があるそうなので、1周してから外に出た。

ここを出てすぐのところで他の中国人観光客に「这里面有什么?(ここは中に何があるの?)」と聞かれる。「只有一个塔(塔が1個あるだけだよ)」と答えると、その人は「只有一个塔啊(塔が1個あるだけかい)」と立ち止まって悩んでる様子だった。このようなケースに限らず、中国人はよく見知らぬ観光客同士で会話する。「中に何があるの?」とか「こっからどのくらい歩くの?」などはよく聞く会話だ。

天寧寺を出る頃には雨はやんでいた。

正定古城のお寺その3:開元寺

次のお寺は開元寺(中国語:开元寺 Kāiyuán sì)。天寧寺から歩いて500mほどのところにある。

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ここは遠くから見ても須弥塔が目印になるだろう。

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須弥塔は最初に建てられたのが唐代(636年)とのこと。明代の大修繕や、2005年の補強工事を経て今の姿になっている。

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須弥塔を支える力士。四隅に2人ずつ、計8人配置されている。

なお、先ほどの天寧寺もこの開元寺もそうだが、全国各地に同名のお寺が存在する。特に正定県の寺院を指す場合は「正定天寧寺」や「正定開元寺」と言った方がよいだろう。

正定古城のお寺その4:臨済寺

次に向かったお寺は臨済寺(中国語:临济寺 Línjì sì)だ。開元寺から700mくらいの距離のところにある。

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入口の門は閉まっているように見えたが、この門の脇から入っていくようになっていた。ここは入場料などは不要だった。

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中には澄霊塔(中国語:澄灵塔 Chénglíng tǎ)という塔が立っている。中国・臨済宗の開祖臨済義玄の衣鉢が納められているので、別名衣鉢塔とも呼ばれる。日本の禅宗の団体がこの塔の修理費用を出資したのだそうだ。

日本の臨済宗の開祖・栄西もここで修行したことがあるとのことだ。

正定古城のお寺その5:広惠寺

最後に目指したのは広惠寺(中国語:广惠寺 Guǎnghuì sì)。臨済寺からさらに500mほど離れている。

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ここで有名なのは華塔(中国語:华塔 Huá tǎ)だ。

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この華塔は唐の貞元年間(785~804年)に建てられたのが最初だそうだ。

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塔の中間には力士・海獣・獅子・象・菩薩などの塑像がある。珍しい造形の塔だ。昔は本堂があったようだが、現在はこの華塔だけとなっている。

正定古城のお寺関連用語

それでは正定古城のお寺に関連する中国語を見ておこう。

正定古城
Zhèngdìng gǔchéng
正定古城
石家荘から北へ15kmほどの正定県にある史跡タウン。
一日游
yīrìyóu
一日ツアー
中国人観光客向けの現地発着1日ツアーには外国人でも申し込める。名所を効率よくまわれるというメリットがあるが、ツアーによっては名所の比率が少ない、土産物屋が多いなどのデメリットもある。
隆兴寺
Lóngxìng sì
隆興寺
中国十大名寺のひとつといわれる名刹。隋の文帝のころ(586年)に創建された。
大佛寺
Dàfó sì
大佛寺
隆興寺の別名。
联票
liánpiào
共通券
いくつかの入場料必要な見どころがセットになった入場券。通常は1枚ずつ買うよりはお得な値段になっている。
天宁寺
Tiānníng sì
天寧寺
唐の懿宗威通年間(860~874年)に創建された寺院。現在は凌霄塔のみが残る。なお、「天寧寺」という名の寺院は中国全土に多数ある。
凌霄塔
Língxiāo tǎ
凌霄塔
正定県の天寧寺に立つ仏塔。
开元寺
Kāiyuán sì
開元寺
540年の創建と伝わる寺院。「開元寺」という名前の寺院も中国に多く存在する。
须弥塔
Xūmí tǎ
須弥塔
開元寺にある塔。いつごろ建てられたか定かではないが、唐代(636年)のものと推定されている。
钟楼
Zhōnglóu
鐘楼
開元寺にある建物。こちらも唐代に建てられたといわれているが、1990年に復元修理をおこなっている。
临济寺
Línjì sì
臨済寺
中国臨済宗の開祖・義玄にゆかりのある寺院。東魏孝静帝のころ(540年)に創建されたといわれる。
澄灵塔
Chénglíng tǎ
澄霊塔
臨済寺にある義玄の衣鉢を祀る塔。
广惠寺
Guǎnghuì sì
広惠寺
唐の785~804年に創建された寺院。現在は華塔を残すのみとなっている。
华塔
Huá tǎ
華塔
広惠寺にある仏塔。中間にある彫刻が珍しい。
干炒牛河
gānchǎo niúhé
牛肉野菜焼きそば
きしめんのような幅広面の牛肉・野菜入り焼きそば。

以上、河北省の正定古城でお寺めぐりをした話でした!

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